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2026/04/14 18:31

皆さんは、届いたコーヒー豆をいつ開けていますか?

「焼きたてが一番!」と思われがちですが、私たちKanamori Coffee Lab.(KCL)では、豆を数日から数週間あえて休ませる「Resting(レスティング)」という時間をとても大切にしています。


豆の中で起きている「デガッシング」

なぜ休ませるのか。その理由は、焙煎後の豆の中で起きている「Degassing(デガッシング)」にあります。

コーヒー豆を焙煎すると、熱による化学変化(メイラード反応など)が起こり、豆の内部には大量の二酸化炭素が発生します。このガスは、抽出のときには「香りの成分を遮る壁」になってしまいます。

焙煎したての豆の中には、このガスがパンパンに詰まっています。それが少しずつ抜けていく(デガッシング)ことで、ようやくお湯が豆の奥まで届き、遮られていた美味しい成分をスムーズに溶かし出せるようになるんです。





「膨らむ=美味しい」のちょっとした誤解

よく「お湯を注いだ時にドーム状に膨らむのが新鮮で美味しい証拠」と言われますが、KCLでは少し違う捉え方をしています。

あの膨らみは、あくまで「デガッシングの最中」であるサイン。

• 膨らみすぎる時: ガスが多すぎて、お湯が豆の芯まで浸透するのを邪魔しているかもしれません。

• 膨らまない時: レスティングが進んで、ガスが抜けた証拠。ドームはできませんが、その分お湯がスッと豆に馴染み、コーヒー本来の質感や甘みがダイレクトに抽出されやすい状態になっています。


豆の「硬さ」で変わる、飲み頃のタイミング

コーヒーの飲み頃は、焙煎度合いによっても変わります。

浅煎りのコーヒーは、豆の組織がしっかりとしていて密度が高いため、ガスの通り道が少なく、デガッシングに時間がかかるのが特徴です。最低でも1週間、できれば2週間ほど置いたほうが、ガスの壁が取れて本来の華やかな酸質やフルーツのような甘みが鮮やかに花開きます。

一方で、じっくり火を通した深煎りの豆は、組織が「もろく(多孔質)」なっているため、ガスの抜けが早く、3〜5日ほどで飲み頃のピークがやってきます。


1ヶ月かけて変化を愛でる

コーヒーは届いた瞬間から、皆さんのキッチンで完成に向かいます。1ヶ月という長いスパンで、味の変化をぜひ楽しんでみてください。

もし、数週間経って「少し味が優しくなりすぎたかな?」と感じたら、それは鮮度が落ちてダメになったのではなく、豆のエネルギーが落ち着いて次のステージに入ったサインです。

そんな時は、「お湯の温度を、いつもより2〜3℃高く」してみてください。

デガッシングが進んで眠りにつこうとしている成分を、熱の力で優しく呼び起こしてあげる。そうすることで、最後の一粒までその豆のポテンシャルを楽しみ尽くすことができます。


「焼きたて」から「熟成」へ。

毎日少しずつ変わるKCLのコーヒーの表情を、時間とともに愛でていただけたら嬉しいです。