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2026/06/19 11:06


お気に入りのコーヒー豆をお家に連れて帰ってきたとき。 ワクワクしながら丁寧に淹れてみて、ふとこんな風に思ったことはありませんか?

「美味しいけれど……本当にこの味であっているのかな?」 「お店で飲んだあの感動と、何かが違う気がする……」

そんな風に、自分の淹れ方に自信が持てなかったり、正解の味が分からなくて迷ってしまうことって、実はよくあります。せっかくのコーヒータイム、できれば「これが最高の味!」と自信を持って楽しみたいですよね。

実は、レシピ通りに丁寧に淹れてもそう感じてしまう場合、原因はあなたの腕(技術)のせいでは全くありません。

理由は、使っている「水」にあります。


コーヒーを液体として測定すると、私たちが美味しいと感じる成分(TDS)はわずか「1.0%〜1.4%」ほど。残りの「98.6%〜99.0%」はすべて水です。

つまり、わずか1%強の美味しさをきれいに引き出せるかどうかは、99%近くを占める水、そしてその中に含まれるミネラルがすべてを握っているのです。

今回は、コーヒーの品質評価の基準にもなっているミネラルの科学的な秘密を少し紐解いてみます。


☕️ ミネラルは、1.0%〜1.4%の成分を掴み取る役割

コーヒーの成分はお湯にただ溶け出しているだけではありません。水の中に含まれるミネラルが、コーヒーの粉から特定の味わい成分を「キャッチして引き出す」という化学反応が起きています。

イメージとしては、水の中のミネラルたちが、コーヒーの美味しさの成分と「ぎゅっと手をつないで」一緒にカップの中へ連れてきてくれるような感覚です。

純水(ミネラルゼロの水)に比べ、適切なミネラルが含まれる水は、コーヒーのポテンシャルを劇的にベースアップさせてくれます。特に味を左右するのが、「マグネシウム」「カルシウム」です。


💧 「マグネシウム(Mg)」= 酸味・甘み・マウスフィールを総合上昇

マグネシウムは非常に強力に成分を引き出す性質を持っています。コーヒーが持つ華やかな有機酸(フルーティーな酸味)や複雑な香味をグッと引っ張り出すだけでなく、液体全体の濃度感を高めるため、結果として「甘み」や「マウスフィール(口当たり)」の豊かさをも一気に上昇させます。

  • ⚠️ ただし、多すぎると…… 引き出す力が強すぎるため、水の中のマグネシウムが過剰になると、コーヒーの奥にある「渋み」や、金属っぽさを感じる「えぐみ」まで引っ張り出してしまいます。クリアさが失われ、舌に残る嫌な苦味に変わるためバランスが重要です。


💧 「カルシウム(Ca)」= 香味を増加させ、甘みとマウスフィールを上昇

カルシウムもまた、コーヒーの香味成分をしっかりキャッチして引き出す力を持っています。特に全体の質感をシルキーで滑らかに整え、心地よい丸みのある酸味と、上品な甘み、そしてリッチなマウスフィールを上昇させるのが大得意です。

  • ⚠️ ただし、多すぎると…… カルシウムが過剰になりすぎると、今度はコーヒーの質感を重く、ザラつかせたり、メリハリのない平坦な味にしてしまう一面もあります。


⚖️ そして味をまとめる裏ボス「アルカリニティ」

実は、これら2つのミネラル(金属イオン)のほかにもう一つ、コーヒーの味に強烈な影響を与える要素があります。それが、水に含まれる炭酸水素イオンなどの量を示す「アルカリニティ(Alkalinity)」です。

これは、コーヒーの酸味が飛び込んできたときに、「味わいのバランスを一定に保とうとするバランサー」のような働きをしています。

  • 💡 ちょっとマニアックな注釈: 「アルカリ度」とも訳されますが、理科で習った「酸性・アルカリ性(pH)」とは全くの別物です。水自体の性質がアルカリ性なのかどうかではなく、コーヒーの酸味に対して、水がどれくらい「味のバランスを一定に保つ抵抗力(緩衝能)」を持っているか、という能力のことを指します。

このアルカリニティの強さによって、酸味の着地点がガラリと変わります。


  • アルカリニティが高い(多い)水: 味のバランスを一定に保とうとする力が強く働き、コーヒーの尖った酸味を中和して抑え込むため、まろやかでマイルドな味わいになります。ただし、高すぎるとメリハリのない平坦でぼやけた味になってしまいます。

  • アルカリニティが低い(少ない)水: 酸味を抑え込もうとする力が弱いため、豆が本来持っている生き生きとした、明るくダイナミックな酸味がストレートに鋭く表現されます。

日本の水道水は全体的に軟水で、このアルカリニティも比較的低いため、コーヒーのきれいな酸味やフルーティーさを素直に、ダイレクトに表現してくれる傾向があります。


🔬 焙煎度で使い分ける、お水選びのガイドライン

「じゃあ、具体的にどう選べばいいの?」と思ったら、お店の棚でボトルの「裏面の成分表示」を見て、書かれている「硬度」をチェックしてみてください。ご自身が淹れる豆の「焙煎度」に合わせてお水を選んだり、ブレンドしたりする実験がとてもおすすめです。

  • 「浅煎り」の豆を淹れるとき = 目安は硬度100mg/L前後(やや高め) 華やかな酸味や豊かな風味、そして心地よい甘みとマウスフィールを、1%強の液体の中にポテンシャル高く引っ張り出したい浅煎りには、ミネラルがしっかり含まれる硬度100mg/L前後の中硬水がおすすめ。風味がグッと立体的になり、豆のポテンシャルが100%引き出されます。

    • 🧪 プロのブレンド実験ヒント: 硬度の高い海外のミネラルウォーターは、実はマグネシウムの比率が非常に高いものが多く、そのまま淹れると引き出す力が強すぎて「渋みやえぐみ」が出てしまうことがあります。そんな時は、いつもの水道水(浄水)や国産の超軟水と、硬水をお好みの比率(例えば1:2など)で「ブレンド」して、理想の硬度100mg/L前後のお水を自分で作ってみると、味が驚くほど綺麗にコントロールできて面白いですよ!


  • 「深煎り」の豆を淹れるとき = 硬度低めの軟水 深煎りの持つ心地よい苦味やコク、落ち着いた甘さをきれいに表現したいときは、硬度の低い軟水(日本の多くの水道水や国産の天然水など)がベスト。余計な渋みやえぐみを引き出すリスク(マグネシウムの過剰抽出)を抑え、クリアで丸みのある、質感豊かな一杯に仕上がります。


最後に

「この味でいいのかな?」と迷ったときは、ぜひボトルの裏面を眺めて、「お水選びとブレンド」という実験を楽しんでみてください。

「この浅煎りはもっと華やかに、マウスフィールを豊かにしたいから、少し硬水をブレンドして硬度を上げてみよう」 「この深煎りはすっきりきれいに飲みたいから、クリアな軟水でいこう」

そんな風に、豆のキャラクターに合わせてお水を選ぶ(つくる)基準が掴めると、「私の淹れ方、これで合ってる!」という自分だけの正解がハッキリ見えてきます。それだけで、お家コーヒーはもっと面白く、自信の持てるものに変わっていきますよ。

当店の豆のラインナップや、それぞれのキャラクターは、プロフィールのリンク(BASEショップ)からぜひチェックしてみてくださいね!

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