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2026/06/08 15:09

みなさんは、コーヒーの「テイスト(味わい)」って、どこで感じていると思いますか?

「そりゃあ、口に含んで舌で味わっているときでしょ?」 そう思う方がきっと多いはずです。

外れてはいませんが、実は大正解でもありません。私たちが「あ、このコーヒーはベリーのような華やかさがあるな」「チョコレートのような甘みがあるな」と感じる風味の正体は、舌ではなく、そのほとんどを「鼻(嗅覚)」でキャッチしています。

そして、その香りの感じ方には、大きく分けて2つのルートがあります。


ひとつは、「レトロネーザル(後鼻腔嗅覚)」。

コーヒーを口に含んだとき、喉の奥から鼻へと抜けていく香りのことです。

ちょっと考えてみてください。風邪や花粉症で鼻が完全に詰まっているときって、何を食べても味がしなくなってしまいませんか? 舌のセンサー(甘味や酸味など)は生きているはずなのに、なぜか味がしない。それは、この喉の奥から鼻に抜ける「レトロネーザル」のルートが塞がってしまうからなのです。

人間の脳は、舌で感じる味覚と、このレトロネーザルから抜ける香りをセットにして、初めて「味わい(フレーバー)」として認識します。


そしてもうひとつが、今回の主役である「オルソネーザル(前鼻腔嗅覚)」。

これは、クンクンと鼻から直接ダイレクトに吸い込む香りのことです。

コーヒーの袋を開けたとき、あるいは豆を挽いた瞬間に立ち上るあの香り――専門用語で「フレグランス」と呼ばれるものは、まさにこのオルソネーザルでキャッチする香りです。

実は、コーヒーの味わいの本当の答えは、口に含む前のこの「オルソネーザル」の瞬間に隠されています。


温度によって、かわるがわる現れる同じキャラクター

なぜ、フレグランスに答えがあるのか。 そこには、おもしろい「香りの分子」と温度の秘密があります。

コーヒーの香り(揮発性化合物)は、何百種類もの小さな分子の集まりです。 実は、豆を挽いた瞬間にオルソネーザルで嗅いだあのキャラクターは、そのままコーヒーの液体の中にもしっかりと存在しています。

それが、コーヒーの温度が変化していく中で、かわるがわる姿を現してくるんです。

特に、淹れたての熱い状態から、コーヒーが人の体温に近くなっていくにつれて、私たちはその甘さを圧倒的にキャッチしやすくなります。

甘さはどこかに隠れていたわけではありません。ただ、温度が下がることで、私たちの身体がそのキャラクターを、今度はレトロネーザルとしてよりはっきりと捉えられるようになるおもしろさがあります。


というわけで、もっとフレグランスを嗅ごう!

「今まで、粉の香りはなんとなく嗅ぐだけだったな……」

もしそうなら、明日からのコーヒータイムはぜひ、お湯を沸かしている間、じっくりとフレグランスを嗅いでみてください。

「あ、今日の豆はこんなキャラクターが飛んでいるな」 「温度が下がってきたら、今度はどんな風にこの甘さをキャッチできるだろう?」

そんな風に、飲む前からフレグランスにある答えを探すようになると、いつものコーヒーの解像度が100倍に跳ね上がります。袋を開けたその瞬間から、あなたのテイストの旅はもう始まっているのです。

当店こだわりの豆が届いたら、ぜひまずは「オルソネーザル」で、ありのままの香りの分子たちと出会ってみてくださいね。